| ポケット |
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| 「このポケットはどんなにたくさんでも大きなものでもしまっておけるのよ」 おしゃまな女の子は可愛らしいポシェットの外ポケットをぽんぽん叩いてみせました。 「ティッシュ、靴下、ひまわりの種、お菓子の袋、消しゴムにボタン。ブラックホールなんて目じゃないね」 「あったわ。お誕生日おめでとう、パパ」 パンドラの箱よろしく最後に出てきたのは、一粒の苺味のキャンディーでした。
「このポケットはどんなに沢山でも大きなものでも守っていられる優れもの」 気の強そうな母親は茶色い毛のポケットをたしたし撫でてみせました。 「それなら他の物も入れておかなくていいの?」 「ええ、あなたがいるからね」 しからば自慢の跳躍力で、母親は群れへと戻っていきました。
「このポケットはどんなに沢山でも大きなものでも取り出せる秘密のポケットなのです」 若い売れない手品師は上着の胸ポケットをとんとん触れてみせました。 「鳩でも飛ばすおつもりなの?」 「あいにくと鳩も兎も逃がしてしまったのですが」 はたして100本のバラは新たな家庭の庭に植えられる事になりました。
「あのポケットはどんなに沢山でも大きなものでも飲み込めるすげえやつでな」 無精髭の隊長さんは空の方をゆるゆる眺めてみせました。 「はは、隊長の薀蓄(うんちく)話も聞き飽きましたよ」 「こら上官より先に行く奴があるか。祈りくらい言わせろ。マリー、愛し 空はつとめて青く、小型戦闘機の破片は炎に包まれていきました。
「このポケットは、どんなに沢山でも大きなものでも包んでおける代物なんだ」 初老の男性は薄いベージュ色のコートの外ポケットをひらひら揺らしてみせました。 「あら、例えばどんなものを?」 「2人分の掌なんかをね」 しかして左ポケットは右ポケットよりあたたかくなりました。
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7月8日(水)23:45 | コメント(0) | 書き散らし | 管理
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