| 村長さん |
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| 村長さんは村の端っこに住んでいました。村長さんはいつも東を向いてデッキチェアに腰掛け、笑っていました。村人の些細な困り事や穫れた野菜のお裾分けだとか、子供達が遊びにきて窓を叩く以外、家の周りはずっと静かでした。それでも、村長さん。声をかけたときの温かく柔和な笑顔が村人達は大好きでしたので、一日中静かな日、というのはありませんでした。
村長さんは村の端っこに1人で住んでいました。村長さんはいつも1人分の食事を作り、1人分の布団干しをして、1人分の薪をくべます。理由は分かりません。村人も聞きません。けれど、時に無邪気な子供は尋ねます。そんちょうさん、およめさんはいないの?そんちょうさん、大きいおうちにすまないの?そんな時、村長さんは黙って笑って抱きしめて、きっといい子いい子をするのでした。
村人達は気付いていました。時々村長さんが花柄のカップにお茶を注いでいること、小さな写真立てを手に、向こうを見つめていること。それよりも村長さんが今笑顔でいてくれる方が大切だということ。いつだって笑顔を絶やさず、村長さん。窓を叩き、村長さんが写真立てを伏せるまで待つのでした。
村長さんは村の端っこに1人で住んでいます。ですが独りではありません。 今日も村長さんの家の窓は、こんこん。優しく震えます。
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7月8日(水)23:53 | コメント(0) | 書き散らし | 管理
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