| ファルおばあちゃん |
|
| 村長さんの元へ素敵なウールセーターを届けに行ったファルおばあちゃんの帰りを、村を出ていた息子達が待っていました。3人は、木杖をつきつき坂を登るその背に、そっと手を当てるのでした。
母さん。長男の傍らに、橙色がぽうぽう、と灯ります。もう5人も暖めなくてよくなったものですから、申し訳なさそうに、まどろむように燃えるだけです。ぽうぽう、ぽう。 弟達が運んできた茶色い箱の中身は、真白なぴかぴかのストーブでした。 どうだい、裏まで薪を取りに行くのは堪えないか?
ファルおばあちゃんは壁の絵の向こう側を探しました。豪雪の朝。いたずら。対の手袋。ホットミルク。下がる目尻。いつもストーブがありました。ごうごう、或いはこうこうと。6つの目の優しい懐かしさに、ファルおばあちゃんはにっこりと微笑みました。
明け方の下り坂、穏やかに我が子を送る母親が立っています。そして麓で幾度も揺れる3本の腕は、ファルおばあちゃんには見えませんでした。
部屋は少し冷えたようです。 チャコールの毛糸で手袋を編み始めたファルおばあちゃんを暖める、ぽうぽう。ゴーゴー。2台のストーブが並びます。
| |
|
7月8日(水)23:55 | コメント(0) | 書き散らし | 管理
|