ラジ観察日記
 
かたじけないのかたじけってなんだろう。そんなファーデルさんもびっくりの観察記。いい天気。リンクフリーです☆
 

簡単ファイル共有の時計付きファイルマネージャ―


動かない時計

めっぽう腕利きの時計職人のマイラ氏は、少し上がってきた額の上に、ちょこんと帽子を乗せています。小さな帽子が手元に合わせて揺れるたび、踊りたくなるようなリズムが生まれます。ちちち、ぎーこ、くん。通りすがる村人たちも、て、て、て。ぺたんこの靴を、控えめにかわるがわる持ち上げてみます。

一日の仕事が終わった後、ちびりとやるのがマイラ氏は好きです。時折すっと横切るセピアに染まる景色が肴です。右頬のほくろ、汗を拭うハンカチ、虫取り網、短い鉛筆、動かない時計。そよいだ風に目を閉じると、浮かべた氷がかすかに溶けた音がしました。


川の近くから来た兄弟たちとおじいさんが持ってきたのは、随分と古い仕掛け時計のようです。仕組みは複雑そうで、肝心の歯車はすっかり錆びていて、歪んでいて、うまく時を刻むことができません。兄弟は不安そうに、おじいさんはどこか楽しそうに、丸みのある指先を見つめています。ぎーこ。顔を上げた二人の視線の先には、マイラ氏ではなく、マイラ少年が立っていました。

ちちち、ぎーこ、くん。ちちち、ぎーこ、くん。ちちち、ぎーこ、くん。



届いた葉書を持ったまま、兄弟は息を切らしてやってきました。その後ろからゆったりとおじいさんもやってきます。
心地よく響いたぜんまい回しを置いて、二人はそっと時計から手を離します。いつの間にか1つ増えた仕掛けに、おじいさんは気がつくでしょうか。
マイラ氏はといえば、て、で、て。踊りともつかない不思議なステップで体を揺らしています。



7月9日(木)00:04 | コメント(0) | 書き散らし | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
添付画像
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)