ラジ観察日記
 
かたじけないのかたじけってなんだろう。そんなファーデルさんもびっくりの観察記。いい天気。リンクフリーです☆
 

簡単ファイル共有の時計付きファイルマネージャ―


夏衣

 ずいぶんと遠い記憶だ。

 「これでもう痛くないぞ。」
 膝に手を当てて、大真面目におまじないを唱えてくれた。林檎をもぐような仕草で耳に触れてくれた。頭をこそばゆいくらい撫でてくれた。あまりにも背が高かった。逆光で覚えていられないほどに私を見てくれた。それならば、笑っていたと、私はどうやって。
 ねえ、包丁で切ってしまったの。スーツを片づけながらそっと背中に聞いてみる。単なる思い付きで、特に他意もなく、あくまでも冷静に、聞いてみたかっただけなのだ。

 「絆創膏があっただろう。」

 ふと、

 ないのか?

 手が止まっていたのだろう。やや疑問を含ませた声がした。
 いいえ。いいえ、戸棚の左に。まつ毛が邪魔になってしまうくらい大きく振り返る。ぷんと土の匂いが通り過ぎた。ノートの右隅に書いていたパラパラ漫画のように、ぎこちなく思い出す。確かにあの時、まっ白いポロシャツははためいていたと。



7月9日(木)00:19 | コメント(0) | 書き散らし | 管理

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